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素朴な疑問として、《コストダウンの宝の山はそもそもどうして生まれるのか?》とお感じではありませんか?その理由を考察してみましょう。
いくつかの視点があると思いますが、まず下記のような本質的な理由があるのではないでしょうか?
それは、「市況原料と違って非市況原料の価格イメージは掴みづらい」と言うことでしょう。
市況原料であれば、半ば情報提供者側の情報操作の意図も含まれていますが、いずれにしても、価格情報が日常的に飛び交っています。値上げや値下げなどと言った価格変動に関する情報を目にする機会も多いですし、ICISのような価格情報を購入することも出来ますので、突拍子もない見積価格をそもそも売り手は打ち出せないのですね。
又、市況原料であれば複数の売り手から購買するのが常識ですので、いくつかの見積価格を買い手は入手して比較する機会も多くなります。
一方、非市況原料は製法も複雑ですし、付加価値も高く、信用できる価格情報も殆どないこともあって見積価格は遥かに自由度が高いのです。
又、非市況原料の購買量や購買金額が低いのでどこかの1社から購買する場合が多く、複数の見積価格を買い手が見る機会も少なくなっています。
更に、どうしても原料の中での位置付けが低いので、直取引よりも商社・代理店経由の間接取引が多くなり、ブラックボックスの商社マージンも絡んで来て価格の不透明感が増してしまいます。
そんなことから、本質的に価格の妥当性を見極めることが極めて困難と言う宿命があり、それが宝の山を生み出す根源的原因になっていますね。見積価格イコール購買価格となってしまうことが多いのではないでしょうか?
次に、購買価格が決まる場面を眺めてみたいと思います。
最初にあるのは見積価格ですね。ところが上述したように買い手はこの見積価格を判断する情報を普通は持っていませんから、「なるほど、そんなものだろうな!」と言って自己説得をするしかないのです。
ちょっと機転が聞く人は別の売り手からも見積を取ってみて比較しますが、似たような価格であれば「やっぱりそう言う価格なんだ!」と根拠もなく納得するのですよ。
更に、この場合の見積価格は、大概初めてその非市況原料を購買し始める時に入手するものですから、当初から多量に購買することはなく、極めて少量の購買が前提になった見積価格なのです。
更に、「上記のようにして一旦決まってしまった購買価格がその後見直されるかどうか?」ですが。。。
購買開始当初には極めて少量の購買量であったものも年を経ることで増量して来るのが普通でしょう。しかし、そうなっても購買金額は市況原料に比べれば低いままですので、買い手が手間隙を掛けるような原料ではないと言う意味で価格見直しのメスは滅多には入らないと言うのが実態ではないでしょうか?昔の価格のままひたすら買い続けていることが多いのではないでしょうか?
最後に、ではどうして増量しているにも拘らず価格の見直しがなされないまま放置され続けるのでしょうか?
その最大の理由は、同じ担当者が市況原料も非市況原料も同時に扱っているからではないでしょうか?
膨大な仕事を抱えている担当者は、当然ながら優先順位を付けて行動していることと思います。重要な原料には様々な面で注意を注いでいますが、大した原料ではない場合は殆ど放ったらかしで玉の確保だけを粛々と継続していることになるのはある意味で必定です。
結果として、購買金額が多く価格変動の激しい市況原料に神経が集中しており、売り手からの面談要求も頻繁なので多くの時間を投じる時間配分になってしまいます。一方、取るに足らない購買金額である非市況原料は売り手からの面談が少ないことも相まって、とかく管理の外側に置かれてしまうのですね。
それでなくても価格の妥当性が分からないものですから、非市況原料の価格見直しをしようと言う気持ちすら沸いてこないのではないでしょうか?
さて、ここまで《宝の山がどうして生まれるのか?》を見て来ました。
念のため言っておきますが、非市況原料が宝の山になってしまうのは決して購買担当者の怠慢にあるのではなく、構造的な必然性の結果であると言うことです。
従って、化学原料のコストダウンの課題は、上記の中に多くのヒントが隠されているとお気づきになられたことと思います。
例えばその1部を列挙してみると、
いずれにしても、これらは全て購買戦略であり、戦術ではない、と言うことを見逃さないようにしたいものですね。
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